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軽減税率対応製品とうたっているPOSレジでも対応できていないこともあるので注意!!

軽減税率とPOS

軽減税率対応製品として販売されているPOSレジでも、実は軽減税率制度に対応できていない製品があることは、あまり知られていません。

購入ユーザー企業が知らないのは、無理はありません。なぜなら国もこのことは把握していないからです。

驚くべきことに、売っている当事者であるメーカーも知らないというケースもあったりします。
なぜ、実際には軽減税率に対応していないのに、軽減税率対応製品として販売されるのか、そこには制度の複雑さ、国による制度の周知や指導が不足していたことが理由であることは否めないのですが、メーカーやSIerの準備不足にも少なからず非はあります。

軽減税率対応製品として国からお墨付きを得るための申請手続きにおいて、審査条件が少なすぎる点も問題もあります。

軽減税率対策補助金という軽減税率対応レジの購入のために助成金が国から用意されているのでが、対象製品というのは軽減税率に対応していることを国が審査し、それをクリアした製品です。

この審査をクリアしていれば、メーカーは軽減税率対応製品と大声で言えるに等しいと受け止めても仕方はありません。

ただ、軽減税率対策補助金の対象製品の申請に必用な機能要件というのは、お会計レシートに軽減税率対象商品の税区分記載があるかどうか、税区分別の合計金額を記載しているかどうかに主眼がおかれてしまっています。

したがって、メーカーはレシート印字が国から指導された条件を満たしていれば大丈夫と誤解してしまいがちなのです。

実際は、POSレジの軽減税率対応というのは、レシートの印字だけではありません。

毎日、精算処理を行い、一日の売上を集計した数字を出力することもPOSレジの大事な機能です。

POSを導入する多くの企業では、POSレジのデータをもとに基幹システムや財務会計システムへデータ連携してデータを渡すことも一般的であり、連携できるデータが軽減税率制度に対応している必要性もあります。

一般の消費者からは見えない、このようなバックオフィス業務においては、POSレジメーカーもアピールしないで販売することも多いようです。購入する企業サイドも見落としがちな項目でもあります。

恐ろしい話ではありますが、多くのメーカーにて軽減税率制度の施行ぎりぎりまでこれらの機能の開発は続きそうです。

なぜ、そんなにぎりぎりまで開発を続ける事態になっているのか?

POSレジを購入した企業にとっては、完全対応しているものと思っていたので、実は対応できていないなんて寝耳に水と驚かれることでしょう。

対応がぎりぎりになってしまう理由としては

1.政府が本当に消費税増税を実行するのか煮え切らないため、メーカーの開発プロジェクト化の踏ん切りがつかなかった。

2.軽減税率対応製品として助成金の対象となる条件は、審査されるのはレシートの書式だけだったので、まずは最低限レシート部分だけ改修しておけば大丈夫と安心していた。実際の業務遂行上は様々な機能を改修しないとまずいことが、徐々に明らかになって慌てている。

3.今回の制度改正においては、対象システムがPOSシステム、データ集信の本部システム、財務会計システムの3つのレイヤーが関係し、多くは別々の製品が導入されているのに、I/Fをすり合わせたり、運用パターンをすり合わせたりする十分な時間もなかった。
国税庁をはじめとした中央省庁がもう少し、実務に則したきめ細やかな指導を徹底してくれたらと思うと残念でなりません。

以上の理由が大きいと思われます。

では、軽減税率対応が間に合わない機能というのはどんな部分で、実務にどんな影響があるのでしょうか?

結論から述べると、それは消費税の申告処理業務です。今回の軽減税率制度においては、税率別に分けて集計して申告が必要になります。
8%の売上とその消費税額、10%の売上と消費税額を別々に集計が必要なのです。

今回はPOSレジの話が中心であり、仕入れ控除とか難しい話は省きますが、売上高と消費税額は8%と10%の別々の数字が必要という点が重要なポイントです。

POSレジには、当然この数字がデータとして保存されていると誰もが思いますが、肝心の数字が存在しなくて、税務処理ができないという問題が発生する懸念があるのです。

問題は税務会計上必要なデータがないということであり、それは前述の数字がPOSの中にないという状態を意味します。

よくあるケースとしては、値引き処理によっては、税率別の売上高と消費税の区分が存在しない会計データが生まれてしまう場合です。

値引き処理には、対象商品を指定した「単品指定の値引き」や、商品分類を指定した「指定グループ商品の値引き」、まとめて値引きをする「お会計金額から一括値引き」などがあります。

3番目の一括で値引きする場合に、10%商品と、8%商品が混在するお会計にて一括値引きをするときに値引き額は按分処理をかけなければいけない決まりになっています。
これに関しては、詳しい事例などが国税局のQ&Aに詳しく記載されているので、そちらもご覧ください。

按分処理に関して、正しく実装されていないレジもあるかもしれないというのがまずひとつ目の懸念です。

そして、一応按分処理を実装しているPOSにおいても、設定によっては按分しない値引き処理、それも値引き後の合計額に税率別の内訳を数字として持っていない事態が発生するPOSレジが存在するというのが二つ目の懸念です。

一つ目のほうは、メーカーの無知や調査不足であることは否めません。それほど数は多くないと信じたいですが・・・。聞いている話からではありますが、体感的にはゼロではなさそうです。

2つ目のほうは、確実にあります。

なぜ、消費税申告に必要な数字が取得できないなんて事態が起こりうる設定をなぜPOSレジに実装するのかという疑問はさておき、設定できてしまう以上、お店を運営する事業者が気づかない限りは、このまま軽減税率制度施行に突入します。

もっと正確に表現するならば、現在は単一税率なので、現在はその設定を有効化しても税務処理上の問題はないのですが、複数税率においては、その設定を継続することにより税務処理上の問題が発生します。

レジメーカーはバックオフィス業務のことまでは、詳しいアドバイスが行き届きません。税理士や会計士はPOSレジの運用のことまでは詳しく知っていません。

軽減税率制度は、値付けの見直しも発生するので、制度施行前はバタバタです。前述の問題に気付かず、税務処理ができないことに顧問税理士から指摘されて気づく事業社も少なくないと予想されます。

最悪、レジにない数字だったら上位のシステムや、エクセルで計算してしまえば良いかというと、そうもいきません。それをやっても良いかを一応税務署に直接質問してみましたが、案の定、それはダメと回答されました。
レジのデータが正であり、そこに税務申告上、必用なデータがレジ内に存在しないということは想定外であり、レジにないデータを別途マイルールで無理やり計算して申告してはダメだそうです。まあ、そりゃそうだ。
だから、税務調査とかいろいろ面倒なことになるよと忠告はされました。

10/1以降の混乱が心配ですね。

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